Light Amplication by Stimulated Emission of Radiationの略で、それが動作原理そのもの
日本語に訳すならば、輻射の誘導放出による光増幅という意味になります。かいつまんでその動作原理にあたる物理現象を解説しましょう。まず原子モデルを出します。といっても難しいものではありません。単純化したものですが、原子核を中心にいくつかの電子がその周りを回っている状況を考えます。

今は、電子がどの軌道を回っているかが重要なので、おもいっきり単純化して、原子核は除いて、バンドのみを抜き出します(右)。また周回軌道ではなく、直線の軌道で考えます。が、軌道が変われば、電子のもっているエネルギーは変化します。今は上の準位のエネルギー>下の準位のエネルギーとします。
電子君たちは、外部からエネルギーをもらって準位間を上に遷移します。あるいは光を出して、そのかわりに準位を下げます。前者が光の吸収、後者が自然放出ということになります。この時エネルギー準位の差\(\Delta E = hv\)という関係が成り立ちます。ここで\(hv\)の\(h\)はプランクの定数、\(v\)は出てくる光の振動数ということになります。これを”ハーニュー”と読んだりしますが光ないし光子(フォトン)をそう呼ぶことがあります。単位は、h=6.62607015×10−34 J⋅sで、vの次元は振動数で1/T(周期)なので、1/s(秒)となります。従って\(hv\)の単位はJ(ジュール=エネルギ-)で合っていますね。自然放出は、

光の吸収は、

では肝心の”誘導放出”は?

なんらかの手段で上の順位に電子君を上げておき(励起するとかポンピングとかいいます)その状態で光子様が到達すると、上図のように1個の光子が2個に増えます。だから増幅です。さらに出てくる二つの光子は、振動数、位相、偏光が同一となります。でこれは1回の誘導放出ですが、

のように発振状態を維持しつつ、余った光子を外部に取り出すことができればレーザーとして使えることになります。上図に示した、レーザー媒質、光共振器、励起方法がレーザー装置の3大要素です。レーザー媒質は気体だったり、固体だったり色々なものがあり、媒質で利用するバンドギャップで出てくるレーザー光の波長が決まります。代表的なHe-Neレーザーの場合は、





普通はレーザー光のスペクトルはかなり狭帯域で単色性が強いですが、

古典的な干渉計で思考実験します。マイケルソンの干渉計です、

干渉の結果光強度が分布しますが、その強さは位相差で決まります。この関係は、

位相差と光強度の関係は、

これは一つの波長に対しての計算結果であるので、

ということで白色光の干渉縞はありえないということがようやく説明できました。干渉が起こるためには、もう一つコヒーレンス(coherence)あるいはコヒーレンス長(coherent length)という特性が重要なんですが、それは別記事で。
コメント