Holographic Interferometry

ホログラフィ干渉法 Optical Holography #2の続きです

ホログラムには光波が記録されていて、それは一つとは限りません。ホログラムに記録されている複数の光波間の干渉や、ホログラムによって再生されている記録時の物体からの光波(物体光)との干渉など色々な組み合わせが可能です。まとめると、

大きく分類すると、ホログラフィ干渉法は、上の三つに分かれます。干渉法に限らず光学的な計測法は、

という長所短所があります。干渉計測法(古典的な干渉法も含むと)の特徴は、

古典的な干渉法とは、既出のマイケルソンの干渉計、あるいはマッハツェンダーの干渉計を指しますが、LASER以外の光源を使うと、そのコヒーレンスの低さにより、光学系の調整が困難です。それでも昔の人は工夫して実験していましたが、所詮上にあるように、

反射物体は光学的鏡面あるいは位相透過物体に限定されていました。他方ホログラフィ干渉法では、粗面反射物体や時間をおいた波面間での干渉が可能なので、応用範囲が激烈に広がり、一般的に使われるようになったわけです。いずれの場合も、干渉縞の強度変化として観察されるのは、光路長変化であり。光路長は、上の式にあるように、屈折率変化を光路にそって線積分したものです。ま、普通はn=1で、長さLだけ変わるケースが多いです。

既出でしたね。

ここで、Objectの位置にある位相透過物体を通る光と、素通しの光との干渉がカメラ位置で観察できます。現象が高速燃焼現象のようなものであれば、その現象の速度に対して十分な時間分解能を持った観察系で記録すれば、現象の変化を干渉縞の変化として記録できます。上の例では、回転プリズム式高速度カメラですね。

ホログラフィ干渉法は、上記の古典的干渉計に対して絶対的な優位性があります。

二重露光法では、対象物体に一定のストレス(加圧とか加熱とか)を与えた前後での変形のイレギュラーな部分を検出することで、顕著な欠陥部位が分かる可能性があります。ので、定量的な解析ではなく干渉縞のパターンのチェックで判定可能な非破壊検査にもよく使われていました。

上の図は、ハニカム構造材の欠陥検出を行った例です。

これはタイヤの構造欠陥を調べる非破壊検査の例ですが、矢印部分にイレギュラーな干渉縞のパターンが見えており、その部分が薄いとか厚いとかの異常が検出できています。

さらに振動計測にも盛んに用いられました。一番簡単なのは、時間平均法(Time averaged Holography)で、1回の露光で済みます。ただ振動周期に対して十分長い露光時間で感光材料を露光するだけのことです。

筆者が大昔(約50年前)に行った実験結果を色々と記載します。

振動振幅の大きさと生成される干渉縞の強度分布の関係が、”特性関数”で、下にしめしたように、

第一種ゼロ次のベッセル関数の自乗です。

レーザ光を振動周期に同期して強度変調して、物体を振動させたまま二重露光法的に干渉縞を生成させるのが、ストロボ法です。

次の実時間法(Real time holographic Interferometry)が筆者が主として研究していた対象で。干渉縞がリアルタイムで観察できるものです。その意味でReal timeなわけですが、古典的な干渉計と近いものになります。下に書いてあるように、差分の干渉縞しか生成されませんから、古典的な干渉計に比べれば段違いに調整は容易です。ただし実時間法を実現させるには、写真乾板を撮影位置に置いたまた現像処理しなければならず、現像方法ないし特殊なホログラム形成装置が必要です。

最初の方法は、リキッドゲートを使うもので、水槽のようなものに写真乾板を入れて、露光し、そのまま現像液や停止液、定着液を通して、その場(In situ)で現像するものです。

それに対してTP(Thermoplastic Photoconductor)システムという特殊な装置を使って、熱可塑性樹脂と光導電体を組み合わせた仕掛けで、Liquid gateと同じく”その場(in situ)”での現像を実現するものです。空間分解能は銀塩写真感光材料よりは低いので、光学系の配置に工夫が必要です。

前にも書きましたが、観察記録系の時間分解能を高めれば、高速度現象をホログラフィ干渉法で捉えることができますので、筆者の所属する研究室では、

”高速度ホログラフィ”

と呼んでいました。結果の一例を示します。定容燃焼器内での火炎伝播を干渉縞で捉えたものです。

左右の結果は、燃料の混合比を変えた場合で、火炎の伝搬速度が変わっているのがわかりました。最後に、古典的な干渉計等での光学系とホログラフィ干渉法での光学系を並べます。

すでに感光材料が手に入らないので、オワコンとなりかかっているホログラフィですが、光電変換系でなんとかホログラフィを行う試みもなされてきていますが、それらをDigital Holographyと呼びますが、次回簡単に紹介します。

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