マクローリン展開の応用

以前の記事でマクローリン展開について触れたが、その続編の応用です。

まずマクローリン展開(0の周りのテイラー展開)の再掲から、

\(f(x)=f(0)+f'(0)x+\dfrac{f”(0)}{2}x^{2}+\dfrac{f^{(3)}(0)}{6}x^{3}+\cdots\)

ここで\(f(x)=\sin x\)の場合は、\((\sin x)’=\cos x\)そして\((\cos x)’=-\sin x\)であり、\(\sin 0=0\)、また\(\cos 0=1\)であるから、

\(\sin x=x-\dfrac{x^{3}}{6}+\dfrac{x^{5}}{120}+\cdots (1)\)

ついでに\(\cos x \)は、

\(\cos x=1-\dfrac{x^{2}}{2}+\dfrac{x^{4}}{24}+\cdots (2)\)

ここまでを一次近似の記事として書いた。別記事で、\(e^x\)は、

\(e^x = 1 + x + \dfrac{1}{2!}x^2 + \dfrac{1}{3!}x^3 + \cdots (3)\)

と書けた。\(x=1\)の時の値を計算することにより、自然対数の底\(e\)の近似値を求めた。今回は上の式で\(x\)でなく\(ix\)と置くと、どうなるだろうか?

\(e^{ix} = 1 + ix + \dfrac{1}{2!}(ix)^2 + \dfrac{1}{3!}(ix)^3 + \cdots\)

となる。\(i\)は虚数単位で、その定義は\(i^2\ = -1\)であるから、\(i^3\ = -i\)等となる。結局右辺は、

\(1 + ix – \dfrac{1}{2!}x^2 – i\dfrac{1}{3!}x^3 + \dfrac{1}{4!}x^4 + \cdots\)

となる。\(i\)が含まれている項と含まれていない項をまとめて、

\( 1 – \dfrac{1}{2!}x^2 + \dfrac{1}{4!}x^4 + \cdots + i( x – \dfrac{1}{3!}x^3 + \cdots)\)

実数部は\(\cos x\)のマクローリン展開式(2)に等しく、虚数部はちょうど\(\sin x\)のマクローリン展開式(1)に等しいので、結局

\(e^{i x}=\cos x+i \sin x\)

となるのでオイラーの公式が導けた。というより辻褄が合っているというべきか。さて(1)~(3)の三つのマクローリン展開の式を記憶することを考える。すると(3)だけ憶えて、\(x=ix\)の場合を計算して(1)と(2)を導きだせますが、時間がかかりますね。まるごと式(1)と式(2)を憶えてしまうのが吉です。筆者は時々忘れますが。これらの式からわかることはまた次の記事で。

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