増幅器の電圧利得(ゲイン)と周波数帯域の関係
別にオペアンプの回路でなくてもいいんですが、オペアンプの回路が単純でわかりやすいので、例としてあげます。

理想的なオペアンプの特性は二つあって、電圧利得が無限大、入力インピーダンスが無限大ということです。上図では、ネガティブフィードバックにより出力側が入力側に”帰還”されています。で、この回路が静的に安定しているとすると、A点の電位はゼロです。これがゼロでないとすると、Voutは無限大になってしまうのでゼロでなくてはなりません。また入力側の抵抗R1を流れる電流値をIとすると、A点で分流してオペアンプ側に流れ込む電流はゼロです。入力インピーダンスが無限大ですから。
VinからR1を通ってA点で電位ゼロになり流れている電流値はIですから、
Vin = IxR1
出力側は、A点からの電圧降下がIxR2なので、
Vout = – IxR2
となります。従って、
\(I = \dfrac{Vin}{R1} = – \dfrac{Vout}{R2}\)
従ってIを消去して、このオペアンプによる反転増幅器の電圧増幅率G(ゲイン 利得)は、
\(G = \dfrac{Vout}{Vin} = – \dfrac{R2}{R1} \)
となり、R1とR2の比だけで決まります。正確なゲインを得たいならば、抵抗値の精度を上げることが必要です。さてこの回路の周波数特性(帯域)ですが、以下のような記事を参考にして、
結果のグラフを引用させていただくと、

上図のように横軸に周波数、縦軸にゲインを取ってグラフをプロットすると、ゲインを下げると帯域が広がり、ゲインを上げようとすると帯域が狭まることが見えます。帯域をBとして、GxBの積が一定になる特性があります。まさに反比例で、一方を高めると、他方が低められるという典型的なトレードオフの関係です。
帯域というと身近な例では、オーディオ帯域(20Hz~20KHz)を思い浮かべますが、増幅器(アンプ=Amplifier)はオーディオ帯域に限った話ではなく、もっと高周波な領域でも必要なもので、このゲインと帯域のトレードオフは成立します。周波数帯域を極端に狭めて、その代わりにゲインを稼ぐという技術をスーパーヘテロダインと呼んでいました。昔の真空管ラジオの五球スーパーというもその一例になりました。有名な例では”コリンズタイプのダブルスーパーヘテロダイン”とかで検索すると懐かしいものがヒットするかもしれません。
球(真空管=電子管)から石(トランジスタ)さらにLSIやFPAでラジオは作れます。さらにネット経由でAM放送もFM放送も聴けるようになってしまいました。
オペアンプとはOperational Amplifierの略称ですが、どこがOperationalかというのはアナログ計算機の話でまた機会を改めます。
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